『English Plurals - Wikipedia』の日本語訳

English plurals - Wikipedia を和訳しました。原文の版は oldid=1137888933 です。

凡例

  • リンクは、人物記へのリンクと See (also)cf. を除き、ほとんど削除しました。
    • 例外的に残したリンクにはマークを施しました。
  • 要出典などは残しましたが、リンクは削除しました。
  • 脚注は先頭に「原注」と附加しました。
  • 訳注は で括って示しました。先頭の「訳注」は無いこともあります。
  • 目次と参考文献は省略しました。

語彙集

  • declension」は「曲用」と訳しましたが、ギリシア語やラテン語などの文法用語として一般的な場合は「格変化」も用ゐました。
  • mass noun」は、1箇所の例外を除いて、「不可算名詞」と訳しました。
    • 類推から「mass」を「数へられない」と訳した箇所が1つあります。
  • back-formation」は、手順は「逆成」と訳し、それによって生成されるものは「逆成の結果」と訳しました。
  • woman」は、性(文法範疇)と区別しやすくするために、「婦人」と訳しました。

ライセンス

この記事は CC-BY-SA-3.0CC-BY-SA-4.0 のデュアルライセンスの下で利用可能です。ウィキメディア・プロジェクトへの移出については、下の補足もご確認下さい。


英語の複数形

英語の名詞は文法的数によって屈折する。つまり、可算なら、単数と複数とで異なる形式を持つのが一般的である。この記事は、英語の複数名詞を対応する単数形から形作る様々な方法や、英語における単数形と複数形の用法に関する種々の問題について議論する。代名詞の複数形については、英語の人称代名詞を見よ。

この記事で提供される音韻転写は容認発音と一般米語向けである。詳細は英語の音韻論を見よ。

意味

複数pluralの日常的な意味は「1よりも多い」だが、この文法用語にはそれとは少し異なった専門的な意味がある。英語の文法的数のたいけいでは、単数は「1(またはマイナス1)」を意味し、複数は「単数でない」を意味する。言ひ換へれば、複数は「1よりも多い」だけでなく「1よりも少ない」も意味する。このよりも少ないless-thanといふ側面は、the temperature is zero degrees*zero degree ではない。)や 0.5 children per woman*0.5 child per woman ではない。)のやうな場合に見られる。

形式

規則的な複数形

英語の複数形態素は、多くの名詞の末尾に附く歯擦音である。英語の規則的な複数形は、単数形の終はりの音によって、3種類に分けられる:

歯擦音

英語には6つの歯擦子音がある。すなはち、/s z ʃ ʒ tʃ dʒ/ である。単数名詞が歯擦音で終はる場合、複数形は /ɪz//əz/(一部の転写たいけいでは /ᵻz/ と省略される。)を附け加へることで形成される。綴りは -es か、単数形がすでに -e で終はってゐるなら -s を附加する:

kiss kisses /ˈkɪsᵻz/
phase phases /ˈfeɪzᵻz/
dish dishes /ˈdɪʃᵻz/
massage massages /məˈsɑːʒᵻz/ または /ˈmæsɑːʒᵻz/
witch witches /ˈwɪtʃᵻz/
judge judges /ˈdʒʌdʒᵻz/

他の無声子音

ほとんどの英語変種には、語末で見られる歯擦でない無声子音が5つある。すなはち、/p t k f θ/ である。一部の変種には /x/ もある。単数形が歯擦音でない無声子音で終はるなら、複数形は、通常、/s/ を附け加へることで形成される。綴りは -s を附加する:

lap laps /læps/
cat cats /kæts/
clock clocks /klɒks/
cuff cuffs /kʌfs/
death deaths /dɛθs/
loch lochs /lɒxs/ または /lɒks/

たゞし、/f/ または /θ/ で終はるものゝいくつかはほゞ規則的である。下の節[訳注 ほゞ規則的な複数形]を見よ。

他の有声音素

歯擦でない有声子音で終はる単数名詞については、複数形は /z/(有声歯擦音)を加へ、綴りは -s を附加する:

girl girls /ɡɜːrlz/
chair chairs /tʃɛərz/

英語では母音は全て有声である。母音で終はる名詞は、同様に、/z/ を附け加へて複数形を形成する。綴りは普通 -s を附加するが、(下で説明される)いくつかの例では、代はりに -es を附加することがある:

boy boys /bɔɪz/
子音に先行される -o で終はる名詞の複数形

子音に先行される o で終はる単数名詞は、多くの場合、(/z/ と発音される)-es を附け加へることで複数形になる:

hero heroes /ˈhɪɹoʊz//ˈhiɹoʊz/ または /ˈhɪəɹəʊz/
potato potatoes /pəˈteɪtoʊz/ または /pəˈteɪtəʊz/
volcano volcanoes または volcanos /vɑlˈkeɪnoʊz//vɔlˈkeɪnoʊz/ または /vɒlˈkeɪnəʊz/

たゞし、ほとんどのイタリア語借用語を含む、外来語に由来する多くの名詞は、単に -s を附加する:

canto cantos
hetero heteros
photo photos
zero zerosまたは zeroes
piano pianos
portico porticos
pro pros
quarto紙の寸法 quartos
kimono kimonos

-y で終はる名詞の複数形

子音に先行される、有声の(つまり、母音として使はれてゐる)y で終はる名詞は、大抵、その y を落として、-ies/iz/、あるいは y/ai/ と発音される単語では /aiz/ と発音される。)を附加する:

cherry cherries /ˈt͡ʃɛɹiz/
lady ladies /ˈleɪdiz/
sky skies /skaɪz/

英語では、qu は、2つの子音(/kw/)か、たまに1つの子音(/k/)を表す二重音字なので、quy で終はる単語もこのパターンに従ふ:

colloquy colloquies /ˈkɒləkwiz/
obsequy obsequies /ˈɒbsəkwiz/
soliloquy soliloquies /səˈlɪləkwiz/

たゞし、このタイプの固有名詞(とくに人名)は、普通、単に -s を附け加へて複数形を形成する。例へば、the two Kennedysthere are three Harrys in our office。地名については、常にこの規則が固守されてゐるわけではない。SiciliesSicily の、ScilliesScilly の標準的な複数形だが、GermanysGermanies は両方使はれる。また、この規則は、P&O Ferriesferry に由来する。)のやうな、単に普通名詞がキャピタライズされたゞけの単語にも適用されない。

他の例外に lay-bysstand-bys がある。

母音に先行される y で終はる単語は、-s を附け加へて複数形を形成する:

day days /ˈdeɪz/
monkey monkeys /ˈmʌŋkiz/

たゞし、money の複数形(めったに使はれない。) は、通常は monies だが、moneys も見られる。また、trolley の複数形は trolleystrollies だが、前者の方がより一般的である。

-i で終はる名詞の複数形

-i の形で書かれる名詞は通常 -is で終はる複数形を持つが、-ies で終はるものもいくつかある。

alibi alibis /ˈæl.ə.baɪz/
bikini bikinis /bɪˈkiːniz/
Israeli Israelis /ɪzˈɹeɪliz/
chili または chilli chilischilieschillis または chillies /ˈt͡ʃɪliz/
alkali alkalies /ˈæl.kə.laɪz/

ほゞ規則的な複数形

古英語と中期英語では、無声摩擦音 /f//θ/ は、有声語尾の前ではそれぞれ有声摩擦音 /v//ð/ に変化した。一部の単語で、この有声化が現代英語の複数形に残ってゐる。/f//v/ に変はる場合、その変化が正書法にも現れる。また、単数形が -e で終はってゐないなら、この場合[訳注 /f//v/ に変はる場合]、サイレント e が附け加へられる。

bath baths /bɑːðz//bæðz/
mouth[1] mouths /maʊðz/
calf calves /kɑːvz//kævz/
leaf leaves /liːvz/(トロント・メープルリーフスLeafsを除いて。)
knife[1:1] knives /naɪvz/
life lives /laɪvz/

さらに、複数形で /s/ が有声化する単語が1つある:

house houses[1:2] /haʊzᵻz/

それでも、/f/ または /θ/ で終はる多くの名詞(正書法で /f/gh または ph で表される全ての単語を含む。)は無声子音を維持する:

moth moths[2]
proof proofs

一部は両方ある:

dwarf[3] dwarfs/dwarves
hoof hoofs/hooves
elf elfs/elves
roof roofs[4]
staff[5] staffs/staves
turf turfs/turves(後者はまれ。)

不規則な複数形

複数形を形成する、より規則的でない方法が他にも多数ある。大抵は古い形式の英語や外来借用語から派生してゐる。

単数と複数が同一の名詞

一部の名詞は、同一の単数と複数(ゼロ屈折)を持つ。これらの多くは動物名である:

  • bison
  • buffalo(または buffaloes
  • carp
  • cod
  • deer(および mooseelk のやうなシカ科に属する全ての種)
  • fish(または fishes
  • kakapo(およびその他のマオリ語由来の単語)
  • neat
  • pike
  • salmon
  • sheep
  • shrimp または shrimps(イギリス英語)
  • squid
  • trout

一般的な規則として、スポーツの文脈では、狩猟鳥獣その他の動物はしばしば、単数形で複数形に言及される。例へば、“He shot six brace of pheasant”“Carruthers bagged a dozen tiger last year”。しかし、動物学や観光のやうな別の文脈では、規則的な複数形が使用される。エリック・パートリッジは、これらのスポーツ用語を「通ぶった複数形snob plurals」と呼び、一般的な英語の不規則な複数形の動物の単語である dearsheep または trout からの類推によって発展した可能性があると推測してゐる。ほとんど全ての種類の魚も同じく、異なる複数形を持たない。(たゞし、rayssharkslampreys のやうな例外もある。) fish といふ単語たいについては、複数形は、通常は単数形と同一だが、とくに「魚類のしゅ」を意味するときは fishes が使はれることもある。fishes はまた、聖書のパンと魚の物語や、『ゴッドファーザー』の臺詞、“Luca Brasi sleeps with the fishes.” のやうな象徴的な文脈でも使はれる。魚の名前の複数形は、語尾に -s を付けるか、単数形と同じかである。

同一の単数形と複数形を持つ他の名詞には、次のものが含まれる:

  • craft(「乗り物vessel」を意味する。) aircraftwatercraftspacecrafthovercraft を含む。(たゞし、げいを意味する場合、複数形は規則的であり、crafts となる。)
  • blues(ブルーズ音楽スタイルの個々の曲を指す。例へば、“play me a blues”“he sang three blues and a calypso”。)
  • cannon(北アメリカとオーストラリアでは cannons の方が一般的だが、イギリスでは複数としても cannon の方が一般的。)
  • chassis(綴りのみ同一。単数形は /(t)ʃæsi/ と発音されるが、複数形は /(t)ʃæsiz/ と発音される。)
  • counsel法律家lawyerといふ意味で。)
  • head(複数形のものは動物の群れを指す。例へば、“fifty head of cattle”。上の brace を参照せよ。)
  • iris(通常は irises だが、iris が複数の植物を指す複数形になることがある。がく的な文脈では irides が使はれる。下のラテン語とギリシア語に由来する不規則な複数形の節を見よ。)
  • seriesspecies(およびその他の -ies で終はる単語で、ラテン語の第五格変化に由来するもの)(specie といふ単語は、in specie といふ成句に含まれる、ラテン語の単数奪格形に由来するもので、金銭、硬貨[訳注 正金、本位貨幣。]のみを指す。複数形は無い。)
  • stone——14ポンドに等しい重さの単位として。(時折 stones となる。)

ネイティブ・アメリカンの人々の名称の多くは複数形で屈折しない:

  • Cherokee
  • Cree
  • Comanche
  • Delaware
  • Hopi
  • Iroquois
  • Kiowa
  • Navajo
  • Ojibwa
  • Sioux
  • Zuni

例外には AlgonquinsApachesAztecsChippewasHuronsIncasMohawksOneidas および Seminoles がある。

英語では、地域の住民の名称demonymまたは民族名の規則的な複数形(例へば、“five Dutchmen”“several Irishmen”。)と、国民ぜんたいを纏めて指すために使はれる不可算な複数形(例へば、“the Dutch”“the Irish”。)とを区別することがある。

日本語やマオリ語のやうな外国語から借用されたその他の単語のいくつかは、正しくは、複数形で屈折しないが、多くの人はこの規則に気付いてゐない。下のその他の言語に由来する不規則な複数形の節を見よ。

-(e)n で終はる複数形

少数の名詞の複数形は、単数形に -n または -en を附け加へることで形成される。これは古英語の弱変化に由来する。一般的には次の3語のみが見られる:

ox oxen (とくに輓獣の群れに言及する場合。非標準のアメリカ英語ではときどき oxes となる。)
child children (唯一の可能な複数。古英語の複数である cildra/cildru-en が附加した二重複数形として始まったもので、この古英語の複数は、アイルランドでは今でも時折り出くはす、Childermas に見られる古風な複数形の childer にもなった。)
brother brethren (兄弟を意味する brother の複数としては古風だが、会衆や友愛組織の一員を意味する brother の複数としてはよく見られる。初期中期英語の brother-en が附加した二重複数形に起源を持つ。)

上述したやうに、children といふ単語は childer といふ初期の形式から来てゐる。このやうな単語は以前は他にもいくつかあった。例へば、eyre/eyreneggs)、lamber/lambren子羊lambs)、calver/calveren子牛calves)。

クラーケンウェルClerkenwellといふロンドンの小教区の名前には、興味深い例が埋め込まれてゐるのが見られる。その名前は、[その小教区に]聖ヨハネ騎士団のクラーケンウェルClerkenwell小修道院に縁のあるクラークスウェルClerks’ Well[訳注 clerkcleric との二重語であり、こゝでは、聖職者cleric、あるいは教会の礼拝、とくに応唱を支援する平信徒clerk - Wiktionary による。)を指す。]があったことに由来してゐる。

方言的な、まれな、あるいは古風な用法では、-(e)n で終はる、次のやうな複数形が見られる:

bee been (方言的、アイルランド。)
cow kine (古風または地域的。実際には、早期の複数 kye(スコットランド語の kye と[英語の]cows を比較せよ。)に接尾辞 -en を附け加へたもので、二重複数形を形成してゐる。)
eye eyen (まれ。一部の地域方言で見られ、シェイクスピアによって使はれた。)
shoe shoon (まれ、または方言的。)
house housen (まれ、または方言的。『プークが丘の妖精パック』の中でラドヤード・キップリングによって使はれた。)
hose hosen (まれ、または古風。欽定訳聖書で使はれた。)
knee kneen (古風または廃語。)
tree treen (古風または廃語。ウィリアム・ブラウンによって使はれた。)
aurochs aurochsen (別の複数形 aurochs もある。)

box といふ単語は、コンピューターを指す場合、ハッカーのサブカルチャーでは時折、ユーモアを交へて、boxen と複数化される[要説明]。同じ文脈で、複数の VAX コンピューターは、とくに1つのクラスターとして動作する場合、Vaxen と呼ばれることがある。複数の Unix システムは通常、ラテン語モデルに沿って Unices となる。

母音交替による複数形

複数形は、単数形の母音を単に変更することによって形成されることがある(これらの複数形は母音変異mutated複数形と呼ばれることがある。):

foot feet
goose geese
louse lice
dormouse dormice
man men
mouse mice(コンピューターのマウスmouseは規則的な複数形 mouses を取ることもある[要出典]。)
tooth teeth
woman women /ˈwɪmᵻn/

このグループは、歴史的には古英語の子音曲用に属する単語で構成される。ゲルマン語のウムラウトの古英語の i 変異の節を見よ。manwoman の複合語で、同じ方法で複数形を形成するものは多数ある。postmenpolicewomen など。

mongoose の複数形は mongooses か、たまに mongeese である。mongeesegoose / geese との類似性による逆成の結果であり、しばしば冗談交じりの文脈で使はれる。meese といふ形式も、moose の複数形(普通は moosemooses。)として、あるいは mouse の複数形としても、おどけて使はれることがある。

種々の不規則な複数形

いくつかの単語には、こゝで与へられたどの種類のものにも合はない不規則な複数形がある。

  • personpeople(より形式的な——法的な、あるいは専門的な——文脈では persons もある。people は、peoples といふ複数形を持つ単数名詞となることもある。)
  • diedice(遊戯の文脈では、dice は単数形としてもよく使はれる。また、はんだうたい産業でも使はれる。その他の場合は dies が使はれる。)
  • pennypence(スターリング・ポンドの金額の文脈で。) 1p 硬貨coins1セント硬貨coinspennies と呼ばれる。pencep(会話では “pee”。)と省略される。10 pences については下の主要部の無い名詞の節を見よ。

外国語に由来する不規則な複数形

ラテン語とギリシア語に由来する不規則な複数形

英語は、古典ラテン語と古代ギリシア語から非常に多くの単語を借用してゐる。古典ラテン語には、名詞、形容詞および代名詞に5つの分類または格変化(一部は副分類を含む。)がある、非常に複雑な語尾のたいけいがある。通常、ラテン語から単語を借用する場合、主格の語尾が使はれる。-a で終はる単数主格を持つ名詞(第一格変化)は -ae で終はる複数形を持ち(animaanimae)、-m で終はる単数主格を持つ名詞(中性、第二格変化)は -a で終はる複数形を持つ(stadiumstadiadatumdata)。(完全な取り扱ひについては、ラテン語の格変化を見よ。)

古代ギリシア語には、[古典ラテン語と比較すると]よりシンプルだが、英語のそれよりはやはり複雑なたいけいがある。英語にある、ギリシア語からの借用語は、アッティカ方言(プラトン、アリストテレスその他の偉大な作家のアテナイのギリシア語the Athenian Greek)からのものであり、デモティキ、コイネー(聖書ギリシア語)および現代ギリシア語からのものではないことに注意すること。これは、アッティカ方言が西ヨーロッパの学級で教へられてゐたものであり、したがって、単語を借用する人が知ってゐるギリシア語だったからである。

英語化Anglicisation

借用語の一般的な傾向は、英語化Anglicisationあるいは帰化naturalisationと呼ばれるもの、すなはち、通常の英語の単語としての、単語とその屈折の再形成に向かってゐる。多くの名詞は、元の形(通常はラテン語。)に落ち着いたり、元の形(同上)から現代的な形を獲得したりしてゐる。その他の名詞は英語化され、通常の語尾 -s を取るやうになった。場合によっては、両方の形式がまだ競合してゐることがある。

この形式の選択は文脈に依存することがよくある。例へば、人文系の学者にとっては、appendix の複数形は(元の言語に従って)appendices だが、一部のにとっては、appendix の複数形は appendixes である。同様に、無線従事者やレーダーエンジニアはアンテナantennasを使って仕事をするが、こんちう学者は触角antennaeを扱ふ。この形式の選択は談話のレベルにも依存する。学術的な、あるいは科学的な文脈では、伝統的なラテン語の複数形の方が多く見られるが、日常会話では、英語化された形式の方が一般的である。次の表では、英語化された形式の方が一般的な場合はその形式とゝもに、ラテン語の複数形が列挙されてゐる。

[ラテン語由来の名詞について、]ラテン語の発音の活用paradigmsが異なると、当該名詞の数や性に関する混乱を招くことがある。ラテン語の名詞は、科学的、がく的および法的な文脈を含む英語で伝統的に使はれてゐるため、綴りに関しては古典的な屈折を維持するが、それらの屈折は英語化された発音を使ふ。例へば、[触角を扱ふ]こんちう学者は、antennae/ænˈtɛni/ と発音する。このことは、古典ラテン語[式]の発音 /ænˈtɛnaɪ/ をよく知ってゐる人を混乱させる可能性がある。alumni の英語化された発音は古典ラテン語の alumnae の発音と同じやうに聞こえるため、alumni(男性複数)や alumnae(女性複数)といった単語は、この[訳注 上で説明されたやうな混乱を招くことがあるといふ]点で悪名高い。

これらの複数形の多くは -s で終はらないため、一部が単数形として再解釈されてゐる。とくに datummedium(「medium of communication」に見られる。)といった単語[がさうである]。元の複数形である datamedia は、今日では、多くの文脈で、一部の人々によって不可算名詞の単数形として使はれてゐる。例へば、“The media is biased”“This data shows us that ...”。(たゞし、多くの科学者、とくにイギリス出身の科学者は、今日でも “These data show us that ...” と言ふ。) 詳細はを見よ。criteriaphenomena のやうな単語も同様に、一部の話者によって単数として使はれることがあるが、これは標準的な用法ではまだ正しくないと見做されてゐる。(を見よ。)

末尾の -a-ae もある[要出典]。)になるか、あるいは単に -s を附加する:

alumna alumnae
antenna antennae
aurora aurorae/auroras
formula formulae/formulas
encyclopaedia(または encyclopædia)/encyclopedia encyclopaedias/encyclopediasencyclopaediaeencyclopediae はまれ。)
larva larvae
pupa pupae/pupas

supernova を指す SN のやうな -a で終はるラテン語由来の単語を指す科学的な略語は、supernovae を指す SNe のやうに、-e を附加することで複数形を形成することがある。

末尾の -ex または -ix-ices/ᵻsiːz/ と発音される。)になるか、あるいは単に -es を附加する:

index indices /ˈɪndᵻsiːz/ または indexes
matrix matrices /ˈmeɪtrᵻsiːz/
vertex vertices /ˈvɜːrtᵻsiːz/

末尾の -is-es/iːz/ と発音される。)または -ises/-ides になる:

axis axes /ˈæksiːz/
genesis geneses /dʒɛn.ə.siːz/
nemesis nemeses /ˈnɛməsiːz/
crisis crises /ˈkraɪsiːz/
testis testes /ˈtɛstiːz/
thesis theses /ˈθiːsiːz/
parenthesis parentheses /pəˈrɛnθəsiːz/
clitoris clitorises/clitorides /ˈklɪtərɪsiz/

ギリシア語の polis[訳注 πόλις]から派生した語は除く。これらは poleis/iːs/ または /iːz/ と発音される。)になる:

acropolis acropoleis /æˈkropoliːs/

(これらのいくつかはラテン語ではなくギリシア語の単語だが、英語における複数形成の方法は同じ。) 一部の人々は、process をこのクラスに属すかのように扱ひ、processes を、標準的な発音で /ˈprɒsɛsᵻz/ と発音する代はりに /ˈprɒsᵻsiːz/ と発音する。この単語はラテン語の processus から来てをり、第四格変化のその複数は長い u を持つ processūs なので、この発音は類推によるものであって、語源によるものではない。axis の複数形の axes (/ˈæksiːz/) は ax(e) の複数形の axes (/ˈæksᵻz/) とは異なる発音で発音される。

末尾の -ies は変化せず、そのまゝにされる:

series series
species species

species の単数形の specie は非標準と見做されてゐる。specie は、金銭の形式を意味する場合は標準的であり、in specie といふフレーズに含まれる、ラテン語の単数奪格から派生したものである。

末尾の -um-a になるか、あるいは単に -s を附加する:

addendum addenda/addendums
agendum(廃語。ほとんどの辞書で立項されてゐない。) agenda は、「会議における議題の一覧」を意味し、agendas といふ複数形を持つ。
corrigendum corrigenda
curriculum curricula/curriculums

datum

data(現在、通常は、くゎいたいの用法でも教養ある用法でも、不可算名詞の単数形として扱はれるが、科学出版物における用法は、アメリカ英語とイギリス英語の強い分断を示してゐる。アメリカ英語の用法では、一般的に、本格的な学術出版を含む全ての文脈で、data を単数として扱ふことが好まれる[11][要文献特定詳細情報]。イギリス英語の用法では、今日では、少なくとも非科学的に使ふ場合、教養ある日常の用法を含め、標準的な英語で、data を単数として扱ふことが広く受け入れられてゐる[15][具體性不十分によるけむしょう不可not specific enough to verify]。イギリスの科学出版では、通常、依然として data を複数形として扱ふことが好まれる。イギリスの大学のスタイルガイドは、一部は単数形で使ふ場合も複数形で使ふ場合も data を使ふことを推奨してをり、また一部は、コンピューターに関連して、data を単数形としてのみ扱ふことを推奨してゐる。)

工学、製図、測量もしくは測地学、または航空機の重量と平衡の計算では、datum(複数は datums または data。)は、測定が行はれるぶったいの基準点、基準面もしくは基準軸、または測定が行はれる地球の表面である。

forum fora/forumsfora はまれだが、1つよりも多くの、元来のローマのフォルムを指して使はれることがある。)
medium media(通信システムとデジタルコンピューターで。今日では単数の不可算名詞として扱はれることが多い。)、mediums降霊術者またはミディアムサイズのもの)。
memorandum memoranda/memorandums
millennium millennia/millenniums
ovum ova
referendum referendums国民投票plebiscitesを意味するものと取られることが多く、referenda は採決された案とされる。referenda はラテン語の動名詞であり、複数形を持たなかったが、「採決された案propositions voted on」はむしろ動形容詞に近く、[ラテン語では]複数化されることがあったので、referenda は正しくないと主張されることがよくある。)
spectrum spectra(電気工学におけるパワースペクトルspectrumとして。)
stadium stadia/stadiums(後者の方が遥かに一般的。)
stratum strata

末尾の -us-i(第二格変化、[aɪ])、-era または -ora(第三格変化)になるか、あるいは単に -es(とくに第四格変化の単語の場合。ラテン語の第四格変化の複数形は単数形に似てゐた。)を附加する:

alumnus alumni
cactus cactuses/cacti(アリゾナ州では多くの人が単数と複数の両方として cactus を選ぶことを避けてゐる[要出典]。)
campus campuses(ラテン語化された複数形である campi は、とくに大学に関して、ときどき使はれるが、難色を示されることもある。対照的に、通常の複数形である campuses は普遍的に受け入れられる[要出典]。)
corpus corpora/corpuses
census censuses
focus foci/focuses
fungus fungi
genus genera
hippopotamus hippopotamuses/hippopotami
octopus octopuses(これはラテン語の第二格変化の名詞ではなく、ギリシア語の ὀκτώπουςoktṓpous8本足)がラテン文字化された形式なので、厳密に言へば不稽だが、octopi も現れる。理論的に正しい形式である octopodes はほとんど使はれない。)
platypus platypusesoctopus と同じ。platypi は現れるが、語源的には正しくない。platypodes は専門的には正しいが、octopodes よりもさらにまれ。)
prospectus prospectuses(複数形の prospectus はまれだが、ラテン語では正しい。)
radius radii
succubus succubiomnibus といふ単語は、形は似てゐるが、元は複数与格なので、複数化されて *omnibi になることはない。The Motor Bus を見よ。)
stylus styli/styluses
syllabus syllabi/syllabuses
terminus termini/terminuses
uterus uteri/uteruses
viscus viscera
virus viruses-us で終はる単語の複数形Virus の節を見よ。)

末尾の -us は複数形で変化せず、そのまゝにされる(第四格変化——複数形は長い ū を持ち、単数形の短い u と区別される。):

meatus meatus(たゞし、通常は meatuses。)
status status(たゞし、通常は statuses。)
apparatus apparatus(たゞし、通常は apparatuses。)

第二格変化のユーモア交じりの方法に基づく口語的な用法には、複数のエルビスのものまねElvis impersonatorsを指す Elvii(より良いラテン語は Elvēs または Elvidēs。)や、ペトロールヘッドによって、複数形のロータスLotusの自動車を指して使はれる Loti が含まれる。

一部のギリシア語の複数形は英語でも維持されてゐる(ギリシア語由来の単語の複数形を参照。):

末尾の -on-a になる:

automaton automata/automatons
criterion criteria/criterions(後者の形式はまれ。)
phenomenon phenomena/phenomenons(後者の形式は一般的だが、ときどき非難されるis proscribed。)
polyhedron polyhedra/polyhedrons

末尾の -as-antes に変化する場合が1つある:

Atlas Atlantesティーターン像)に対して、
atlas atlases地図集

ギリシア語由来の名詞の末尾の -ma は、-mata になることもあるが、-s も常に受け入れられ、また多くの場合、より一般的である:

stigma stigmata/stigmas
stoma stomata/stomas
schema schemata/schemas
dogma dogmata/dogmas
lemma lemmata/lemmas
magma magmata/magmas
anathema anathemata/anathemas
enema enemata/enemas

このやうな -ata で終はる複数形は、ギリシア語から借用されたラテン語の単語(例: poemata)にも見られる。a はどちらの言語でも短い。

その他の言語に由来する不規則な複数形

一部のフランス語由来の名詞は -x を附加する。これは無音か、あるいは /z/ と発音されることがある:

beau beaux または beaus
bureau bureaux または bureaus
château châteaux または châteaus
milieu milieux または milieus
tableau tableaux または tableaus

下のフランス語の複合語の節も見よ。

イタリア語の名詞、とくに音楽と藝術の専門用語は、イタリア語の複数形を維持することがよくある:

cello celli
timpano timpani

外国語の用語は、とくに使用者がその言語のことをよく知ってゐる聴衆に話し掛けてゐる場合、その言語固有の複数形を取ることがある。このような場合、慣習的に形成された英語の複数形は、ぎこちなく聞こえたり、混乱を招いたりすることがある。

スラヴ諸語由来の名詞は、言語固有のルールに従って -a または -i を附加するか、あるいは単に -s を附加する:

kniazhestvo kniazhestva / kniazhestvos
kobzar kobzari / kobzars
oblast oblasti / oblasts

ヘブライ語由来の名詞は、言語固有のルールに従って -im または -ot(概して、男性/女性。)を附加するか、あるいは単に -s を附加する:

cherub cherubim / cherubs
seraph seraphim / seraphs(ヘブライ語の単数形は saraph[訳注 שרף]。seraphseraphim からの逆成の結果である。欽定訳聖書では seraphims といふ形式が見られる。)
matzah matzot / matzahs
kibbutz kibbutzim / kibbutzes

-ot は、アシュケナジ方言では(無声の s を用ゐて)os と発音される。

日本語由来の名詞の多くは複数形を持たず、変化しない:

bentō bentō
otaku otaku
samurai samurai

kimonosninjasfutons あるいは tsunamis のやうな他の名詞は、規則的な英語の複数形とゝもに見られることが比較的よくある。

ニュージーランド英語では、マオリ語由来の名詞は -s の形を取るか、分離した複数形を持たないかである。マオリ文化により密接であり、その文脈で使用される単語は、同じ形式を取る傾向があるが、植物名や動物名は、文脈に依存して、-s の形を取る場合と取らない場合とがある。多くの人は省略の方が正しいと考へてゐる:

kiwi[6] kiwi/kiwis
kowhai kowhai/kowhais
Māori[7] Māori/(時折 Māoris となる。)
marae marae
tui tuis/tui
waka waka

カナダ、グリーンランドおよびアラスカのイヌイットによって話されるイヌクティトゥット語とくゎんれん言語から借用した一部の単語は、元の複数形を維持してゐる。Inuit といふ単語たいは複数形である。カナダ英語はイヌクティトゥット語の単数の Inuk も借用してゐるが、これはカナダ以外の英語では一般的ではない。

Inuk(一般的ではない。) Inuit
inukshuk inukshuit(まれ。)
Iqalummiuq Iqalummiutイカルイトの住民
Nunavimmiuq Nunavimmiutヌナビクの住民
Nunavummiuq Nunavummiutヌナブトの住民

上のもの以外の言語に由来する名詞は、一般に、まるで生来の英語の単語であるかのやうに、複数形を形成する:

canoe canoes
cwm cwms ウェールズ語の谷。ウェールズ語の複数形は cymoedd
goulash goulashes gulyás のハンガリー語の複数形は gulyások
igloo igloos ᐃᒡᓗ iglu のイヌクティトゥット語の複数形は ᐃᒡᓗᐃᑦ igluit
kangaroo kangaroos
kayak kayaks ᖃᔭᖅ qajaq のイヌクティトゥット語の複数形は ᖃᔭᐃᑦ qajait
kindergarten kindergartens ドイツ語の複数形は Kindergärten
ninja ninja/ninjas 日本語は複数形を持たない。
pizza pizzas イタリア語の複数形は pizze
sauna saunas フィンランド語の複数形は saunat

複合名詞の複数形

英語の複合名詞の大部分は、末尾に1つの基本的なterm、あるいは主要部headを持つ。これらの主要部は名詞であり、典型的な方法で複数化される:

able seaman able seamen
head banger head bangers
yellow-dog contract yellow-dog contracts

一部の複合語は、先頭に1つの主要部を持つ。これらの主要部も名詞である。通常、主要部は複数化され、2番目の(通常は後置形容詞の)項は変化せずに残る:

attorney general attorneys general
bill of attainder bills of attainder
coat-of-arms coats-of-arms
court martial courts martial
director general directors general
fee simple absolute fees simple absolute
governor-general governors-general
passerby passersby
poet laureate poets laureate
ship of the line ships of the line
son-in-law sons-in-law
minister-president ministers-president
chief of staff chiefs of staff
procurator fiscal procurators fiscal

砕けた言葉では、ほとんどの英語の名詞と同様に、[最初の単語の]代はりに最後の単語を複数化するのが一般的だが、教養ある人々に向けてへんしふされた散文では、通常、上で与へられた形式が好まれる。

複合語が2つの主要部を持つと考へられうる場合、最初の主要部が不規則な複数形を持つなら、両方の主要部が複数化される傾向がある[要出典]:

man-child men-children
manservant menservants
woman doctor women doctors(もはや一般的ではない。)

しかし、最初の主要部が標準的な複数形を持つやうな二重主要部Two-headedの複合語は、最後の主要部だけが複数化する傾向がある:

city-state city-states
nurse-practitioner nurse-practitioners
scholar-poet scholar-poets

陸海軍の用法では、将官・将校の肩書きの一部としての generalcolonelcommander といった用語は、語源的には形容詞だが、名詞として採用されてをり、したがって、主要部なので、これらの用語を採用した肩書きの複合語は、末尾で複数化される:

brigadier general brigadier generals
lieutenant commander lieutenant commanders
lieutenant colonel lieutenant colonels
major general major generals

不規則な複数形を持つ主要部を持つ、3語以上の複合語については、その項[訳注 主要部]だけが複数化される:

man-about-town men-about-town
man-of-war/man-o’-war men-of-war/men-o’-war
cat-o’-nine-tails cats-o’-nine-tails
woman of the street women of the street

先頭に主要部のある3語以上の他の多くの複合語——とくに、その複合語がその場限りの場合や、その主要部が隠喩的な場合。——については、一般に、最初または最後の主要な項を複数化することが受け入れられると見做されてゐる(単数のときにスペース区切りopenなら、このやうな複合語は、後者の[最後の主要な項を複数化する]場合、複数のときにハイフンを使ふ傾向がある。):

ham on rye hams on rye/ham-on-ryes
jack-in-the-box jacks-in-the-box/jack-in-the-boxes
jack-in-the-pulpit jacks-in-the-pulpit/jack-in-the-pulpits

少数の拡大解釈された複合語については、両方の項が複数化されることがある——さらに、別の選択肢があり、より普及してゐることがある(例: heads of state):

head of state heads of states/heads of state
son of a bitch sons of bitches/sons-of-a-bitch

一部の o を中心に構築される拡大解釈された複合語では、最後の項だけが複数化される(あるいは、最後の項がすでに複数なら、変化せずに残される。):

jack-o’-lantern jack-o’-lanterns
will-o’-the-wisp will-o’-the-wisps

下の主要部の無い名詞の節も見よ。

フランス語の複合語

英語の複合語の多くはフランス語から直接借用されてをり、これらの語は一般に、やゝ異なる一式の規則に従ふ。主要部としての名詞と記述形容詞a qualifying adjectiveからなるフランス語の借用語では、フランス語の慣習と同じやうに両方の単語を複数化するのが正しい。通常、フランス語では、名詞が形容詞に先行する:

agent provocateur agents provocateurs
entente cordiale ententes cordiales
fait accompli faits accomplis
idée fixe idées fixes

一部の表現では、形容詞が名詞に先行する。この場合も依然として、フランス語の慣習と同じやうに両方の単語を複数化するのが正しいが、英語の形式では名詞だけが複数化することがある:

beau geste beaux gestes / beau gestes
belle époque belles époques / belle époques
bon mot bons mots / bon mots
bon vivant bons vivants / bon vivants

たゞし、beau美しいまたはハンサムな)、nouveau新しい)または vieux古い)といった形容詞は、母音または無音の h で始まる単数名詞(homme のやうな。)に先行する場合、bel(下の例に見られる。)、nouvel または vieil に変化する。(フランス語での発音を円滑にするために。) この場合、英語の形式でもフランス語のやうに、名詞と形容詞の両方が複数化される:

bel homme beaux hommes

その他のフランス語の複合表現では、主要部の名詞だけが複数化される:

aide-de-camp aides-de-camp
coup d’état coups d’état
cri du cœur / cri du coeur cris du cœur / cris du coeur
cul-de-sac culs-de-sac
fleur-de-lis fleurs-de-lis
tour de force tours de force

たゞし:

tête-à-tête tête-à-têtes (フランス語では、複数形は単数形と同一。)

文字と略語の複数形

個々の文字の複数形は通常、-’s の形で書かれる。例へば、there are two h’s in this sentencemind your p’s and q’sdot the i’s and cross the t’s

一部の人々は、このアポストロフィの使用を、数字で書かれた数の複数形(例: 1990’s)や、用語として使はれてゐる単語の複数形(例: his writing uses a lot of but’s)のやうな、他のケースに拡張する。しかし、他の人々は、この方法(これは所有格の -’s との混乱を招くことがある。)を避け、1990sbuts と書くことを好む。これ[訳注 後者]は『The Chicago Manual of Style』によって推奨されるスタイルである。

同様に、アクロニムとイニシャリズムは、普通は、MPs のやうに単に(小文字の)-s を附け加へることで複数化されるが、アポストロフィが見られることもある。アポストロフィの使用は、文字がピリオドに後続される[訳注 文字がピリオドの左にある]場合(B.A.’s)や、最後の文字が S の場合(PS’sCAS’s など。もっとも、PSsCASs も受け入れられる。-es といふ語尾もときどき見られる。)に、より一般的である。

英語では、ラテン語や他のいくつかのヨーロッパ言語と同様に、いくつかの1文字の略語の複数形が、その文字を重ねることで形成されることがある。例へば、p.page)、pp.pages)。その他の例には、ll.lines)、ff.following lines/pages)、hh.(単位としての hands)、PP.Popes)、SS.Saints)、ss.(または §§)(sections)、vv.volumes)が含まれる。一部の複数文字の略語は、最後の文字を重ねることで、同じ方法で取り扱ふことができる。例へば、MSmanuscript)、MSSmanuscriptsop.opus)、opp.opus の複数としての opera)。

たゞし、単数形で使はれる略語は、複数形の略語として使はれることもよくある。ほとんどの計量単位と通貨単位では、これが普通である。SI 単位記号は、10 m10 metres)に見られるやうに、公式には略語と見做されてをらず、また複数化されない。

主要部の無い名詞

言語学者のスティーブン・ピンカーは、『言語を生み出す本能』で、lowlifeflatfoot のやうな、彼[ピンカー]自身は「主要部の無いheadless単語」と呼び、典型的には所有複合語bahuvrihi compoundsと呼ばれるものについて論じてゐる。これらの単語の中では、lifefoot は、意味的には、主要部ではない。つまり、ごろつきlowlifelifeの一種ではないし、扁平足flatfootfootの一種ではない。このやうな単語の通常の形式が単数なら、その単語の最後の構成素が通常は不規則な方法で複数化されるとしても、その単語は規則的な複数形を持つものとして扱はれる。ピンカーによれば、したがって、lowlife の複数形は lowlifes であって、「lowlives」ではない。その他の提案された例には、次のものが含まれる:

sabretooth sabretooths
still life still lifes
tenderfoot tenderfoots

Blackfoot は例外であり、その複数形は Blackfeet となることがある。たゞし、この名称はカナダのブラックフットBlackfoot先住民族によって公式に否定されてゐる。

別の類例として、マイアミ・マーリンズMiami Marlinsトロント・メープルリーフスToronto Maple Leafsのやうなスポーツチーム名の事例がある。これについては、下のチームとそのメンバーの節を見よ。

けつじょ名詞Defective nouns

単数形の無い複数形

一部の名詞には単数形が無い。このやうな名詞は絶対複数plurale tantumと呼ばれてゐる。例として、cattlethanksclothes(元は cloth の複数形。)がある。

現代英語では、2つの部分を持つものを表すいくつかの特定の名詞が、絶対複数の主要なグループを成す:

  • glasses眼鏡a pair of spectacles)、pantspantiespantyhosepliersscissorsshortssuspenderstongs(金属加工と料理)、trousers 他。

これらの単語は、a pair of scissorsa pair of trousers などゝ入れ替へられる。アメリカのファッション業界では、1着のパンツは a pant と呼ぶのが一般的である。これは逆成の結果だが、英語のこの単語(フランス語の pantalon に由来する。)は元々単数だった。同じ分野で、1挺のはさみの半分から切り離されたもう半分は、やゝ非論理的だが、a half-scissor と呼ばれてゐる。tweezers はこのグループの一部だったが、20世紀後半からは tweezer が一般的に使用されてゐる。[訳注 アメリカ英語のみ。]

2つの部分を持つものを表す名詞は、形容詞として使はれる場合、単数形で現れる。その他の絶対複数は、形容詞としても変化せず、そのまゝである。

a pair of spectacles a spectacle grinder
a pair of trousers a trouser press
clothes a clothes line

単数形は存在するものゝ、複数形と比べるとめったに出くはさないやうな複数名詞もいくつかある:

nuptial nuptials
phalanx[8] phalanges
tiding tidings
victual victuals
viscus viscera

複数形の無い単数形

質量名詞Mass nouns(または不可算名詞)は別々の対象物を表現しないため、単数の意味論と複数の意味論は、同じ方法では適用されない。いくつか例をあげる:

  • 抽象名詞deceitinformationcunning、および honestywisdombeautyintelligencepovertystupiditycuriosity などの形容詞由来の名詞、および goodnessfreshnesslaziness などの -ness で終はる単語、および goodbadgoodnessbadness も使ふことがある。)、hotcold などの似た意味の形容詞の同形同音異義語homonymである名詞。
  • 藝術と科学でchemistrygeometrysurgerythe blues[9]jazzrock and rollimpressionismsurrealism。複数に見えるが、英語では文法上単数として機能するもの(例: “Mathematics is fun”“thermodynamics is the science of heat”)を含む。mathematics(イギリス英語では短縮形の maths。)、physicsmechanicsdynamicsstaticsthermodynamicsaerodynamicselectronicshydrodynamicsroboticsacousticsopticscomputer graphicsethicslinguistics 他。
  • 元素および他の物理的じったいaluminum(アメリカ英語)/ aluminium(イギリス英語)、coppergoldoxygennitrogencarbonequipmentfurnituretrafficair および water

一部の不可算名詞は複数化することがあるが、この場合の意味は多少異なることがある。例へば、誰かゞ2粒の砂two grains of sandを持ってゐる場合は、その人は2つの砂two sandsではなくsand[訳注 不可算。]を持ってゐることになる。しかし、「sands of Africa」には、[アフリカAfricaにある]多くの別々の砂の広がりstretches of sand、地質学者や建設業者にとっては興味深い別々の種類の砂、あるいは『火星の砂The Sands of Mars』のやうな単なる比喩といった多くのものがありうる。

furniture をこの方法で複数化するのは(かつてはより一般的だったが)まれであり、また、information は決して複数化されない。

酸素にはいくつかのどうたいがあり、それらは相異なる酸素oxygensとして言及されることがある。カジュアルな会話では、oxygen は「1個の酸素原子an oxygen atom」の省略記法として使はれるが、この場合の oxygen は不可算名詞ではないため、「同じ分子に含まれる複数の酸素oxygens」に言及することができる。

ボブの知恵Bob’s wisdoms」は「ボブの知恵の一つ一つ」(すなはち、「はさみを持って走るな」、「より豐富な知識のある人に従へ」。)として、欺瞞deceitsは一連の欺瞞的な行動のたい例(所得税について嘘をついて、妻とデートした。)として、そして労働者の相異なる遊休idlenessesは、遊休といふ数へられない概念の複数の別々の現れとして(あるいは、異なる種類の遊休——「全くの怠惰」と「すべき仕事が無い」——として)解釈されよう。

speciespecies のペアはともに「種類または現物kind」を意味するラテン語の単語から来てゐるが、これは単数と複数のペアを形成するものではない。ラテン語では、specie は単数奪格形だが、species は主格形であり、[後者は]単数と複数の両方で[偶然]同じ形になる。英語では、species は同様に——同一の単数と複数を持つ名詞として——振る舞ふが、specie硬貨coins[訳注 金銀で作られた本位貨幣を指す。]の形式のお金を指す(この発想は「現物で(支払ふこと)[payment] in kind」から来てゐる。)不可算名詞として扱はれる。

複数としての単数形と単数としての複数形

単数になる複数の単語

形式上は複数だが構造上は単数

元々は形式上複数だったいくつかの単語は、ほゞ例外なく単数形(通常は不可算。)として使はれるやうになった。例へば、billiardsmeaslesnewsmathematicsphysics 他。news などのこれらの単語の一部は、流暢な話者には、一貫して、強く、単数のやうに感じられる。これらの単語は、大抵、辞書では、「形式上は複数だが構造上は単数」といふフレーズ(または同様の言ひ回し)でマークされてゐる。aesthetics などの他の単語は、それほど一貫して強く単数のやうに感じられるわけではない。後者の種類について、「形式上は複数だが構造上は単数または複数」といふ辞書のフレーズは、可変的な用法を認めてゐる。

単数形になる複数形

一部の外国語由来の単語は、その(外国語形態論の)複数形としてよりよく知られてをり、英語話者には複数形があると認識されてゐさへしないことがよくある。記述的には、英語は、外国語の複数形を英語の単数形として帰化させたhas naturalizedゝめ、英語の形態論では、これらの多くは複数形ではない。元の単数形の用法は、衒学的、過剰修正的hypercorrective、あるいは誤りだと見做されることがある。下の例においては、元の複数形は現在は一般的に単数形として使はれてをり、また、いくつかのケースでは、元の複数形から規則的な英語の複数(事実上の二重複数形。)が形成されてゐる。

元の単数形

元の複数形/
一般的な単数形

一般的な複数形

agendum agenda[10] agendas
alga algae algae
biscotto biscotti biscotti
candelabrum candelabra candelabras
datum[11] data data(不可算名詞)
graffito graffiti graffiti(不可算名詞)
insigne insignia insignias
opus[12] opera operas
panino panini paninis(昨今、使用が増えつゝある。)
paparazzo paparazzi paparazzi
spaghetto spaghetti spaghetti(不可算名詞)
talib taliban taliban(集合名詞)
zucchino zucchiniアメリカ英語 zucchinis

magazine はアラビア語からフランス語経由で派生した。元は複数だったが、フランス語と英語では常に単数と見做されてゐる。

複数形が単数形として使はれることがある他の単語には、次のものが含まれる:

criterion criteria
phenomenon phenomena

逆成

一部の単語は、単数形と複数形を一風変はったふうに形成するが、逆成によって、通常の単数複数ペアを[も]発達させてゐる。例へば、pease(現代の peas)は、元々は、複数形の peasen の単数形だった。しかし、pease が類推によって複数形と分析されるやうになり、そこから新たな単数形 pea が形成された。pease といふ綴りもそれに応じて変化し、pease porridgepease pudding といった料理名にのみ残った。同様に、termitestermes3音節の複数形[訳注 ラテン語の第三格変化。]だった。しかし、この単数形は失はれ、複数形は2音節に減った。syringesyringes からの逆成の結果であり、syringessyrinx(楽器)の複数形だった。cherry はノルマン語の cherise から来てゐる。phases は、かつては phasis の複数形だったが、現在の単数形は phase である。非標準で、無礼で、かつ現在では廃語である ChineePortugee といった単数形は、標準的な ChinesePortuguese からの逆成の結果である。

kudos は、称賛を意味するギリシア語の単数の単語だが、複数形を取ることがよくある。しかし、現在のところは kudo は誤りと考へられてゐるが、kudos がよりよく知られるやうになるにつれて、この用法の方が一般的になりつゝある[要出典]。ギリシア式のサンドイッチである gyros も同様の変化を遂げようとしてゐる。

上腕の主要な屈筋を指すラテン語由来の用語は the biceps musclebiceps brachii から。)だが、多くの英語話者はこれを複数形と見做し、一方の腕だけの筋肉を、逆成によって、a bicep と呼んでゐる。正しい——しかしめったに使はれない——ラテン語の複数形は bicipites である。

sastrugi深雪の上の硬い隆起線)といふ単語はロシア語由来のものであり、その単数形は sastruga だが、想像上のラテン語式の単数形 sastrugus が使はれることがある。

単数として使はれる地理的な複数形

地名は、国家のやうな単一のじったいを表現すると見做される場合、仮令形式上は複数であっても、単数として扱はれることがある。例へば、The United States is a country in North Americathe Netherlandsthe PhilippinesTrinidad and Tobagothe United Nations 他も同様。)。しかし、その意味が島や山のやうな地理的なものゝ一群なら、複数形の名称は複数として扱はれる。例へば、The Hebrides are a group of islands off the coast of Scotland

複数として扱はれる集合的な意味を持つ単数形

armycompanycrowdfamilyfleetgovernmentmajoritymessnumberpackparty および team のやうな単語は、単一のじったいを指すことも、それを構成する集合のメンバーmembersを指すこともある。後者の意味が意図される場合、その単語は、(形式上は単数であっても、)複数の動詞を取り、複数の代名詞で置き換へられることがあるといふ点で、まるで複数形であるかのやうに扱はれることがある。例へば、(イギリス英語では)the government are considering their position(あるいは the government is considering its position)。シュネシスsynesisを見よ。

したがって、H・W・ファウラーが述べるやうに、イギリス英語では、それらは、裁量で、単数または複数として扱はれる。ファウラーは、裁量的な複数によって、時折り繊細な区別が可能になるといふことを次のやうに指摘してゐる。思考の順序として、ぜんたいは分割よりも先に無ければならないため、The Cabinet is divided の方が良く、合意には2人以上を必要とするため、The Cabinet are agreed の方が良い。

数の複数形

次の諸規則は、dozenscorehundredthousandmillion などのやうな、数に関する用語の複数形に適用される:

  • 数によって修飾される場合、複数形は屈折しない、すなはち、-s を附加しない。したがって、one hundredtwo millionfour score などゝなる。(結果として生ずる量的表現は、名詞を直接修飾できるといふ点で、数として扱はれる。例へば、three dozen eggs。しかし、代名詞または定名詞句の前では of が使はれる。例へば、three dozen of them/of those eggs。)
  • 数によって修飾されない場合、複数形は通常、-s の形を取り、結果として生ずる表現は数ではない(名詞を修飾する場合、of を要する。)。I have hundredsdozens of complaintsthe thousands of people affected
  • その修飾語が比較的曖昧な数の表現である場合、どちらのパターンに従ふこともある。several hundred (people) または several hundreds (of people)
  • ある単語が単なる数量の表現ではなく、特定の意味を持つ場合、その単語は、通常の名詞のやうに複数化される。Last season he scored eight hundreds(= scores of at least 100 runs in cricket)。その他の数にも同じ規則が適用される。My phone number consists of three fives and four sixes
  • by the dozen など(単数)、in threes(= in groups of three)など(複数)、eight sevens are fifty-six などゝいった表現に注意せよ。

用法と数の一致

属性的に使はれる名詞

一般に、他の名詞を修飾するために属性的に使はれる名詞は、例へば、a dog catcher catches more than one dog、あるいは a department store has more than one department のやうな場合であっても、単数形である。a trouser manglethe scissor kick のやうに、単数形が独立して見られない、一部のバイナリー名詞についても同様である。また、a twenty-dollar billa ten-foot pole あるいは a two-man tent のやうに、属性名詞たいが数に修飾されてゐる場合もさうである。[訳注 a six-month-old baby のやうな形容詞もこれに当たる。] 絶対複数の名詞については複数形が使はれる。a glasses case is for eyeglasses に対して、a glass case is made of glass。(eyeglass case とも比較せよ。) an arms race に対する arm wrestling も。複数形は、とくにイギリス英語では、a careers advisora languages expert のやうに、その属性の複数性を強調するために使はれることがあるが、アメリカ英語ではごくまれである。複数形は、様々な属性に対応した不規則な複数形もより一般的である。women killers は生き物を殺す婦人womenだが、woman killers は婦人を殺す人々である。

属性的に使はれる可算名詞が、英語と異なり、複数であり、単語の最後に来るやうな他言語からの借用語の単数形と複数形は、英語の用法に入るときに変化することがある。例へば、スペイン語では、動詞とその複数形の目的語から構成される名詞は、通常、最初に動詞を、最後に目的語の名詞を持ち(例: 伝説上の怪物チュパカブラchupacabrasは、逐語的には「sucks-goats」であり、より自然な英語の形では「goatsucker」である。)、その目的語名詞の複数形は、複合語の単数形と複数形の両方で維持される(単数は el chupacabras、複数は los chupacabras。)。しかし、英語に入ると、chupacabras の最後の s は、その動詞の目的語(ヤギ)の複数形ではなく、その複合語(その怪物)の複数形として扱はれたゝめ、スペイン語では chupacabra は字義的にはたゞ1匹のヤギの血を吸ふ生き物と解釈されるにもかゝはらず、英語では s の無い「chupacabra」が単数形である。

チームとそのメンバー

スポーツチーム名では、通常の使用ではその名詞には不規則な複数形があるにもかゝはらず、ある名詞に -s の形の規則的な複数形が与へられることがある。(上で述べられた主要部の無い名詞たい的な事例。) 例へば、marlin といふ単語は、通常、単数形と同一の複数形を持ち、また leaf の複数形は leaves であるにもかゝはらず、マイアミ・マーリンズMiami Marlinsトロント・メープルリーフスToronto Maple Leafsと呼ばれるチームがある。(これはいつも適用されるわけではない。例へば、ミネソタ・リンクスMinnesota Lynxがある。*Lynxes ではない。) ボストン・レッドソックスBoston Red Soxシカゴ・ホワイトソックスChicago White Soxのやうな一部のチームは、その名前に非標準の複数形の綴りを使ってゐる。

スポーツチーム名が複数の場合、そのチームのメンバーを示すために対応する単数形が使はれることがよくある。例へば、シンシナティ・レッズCincinnati Redsのプレイヤーは a (Cincinnati) Red と呼ばれることがある。楽曲の『セントルイス・ブルースSt. Louis Blues』から名付けられ、blues は元々はその複数形と同一の単数形だった[訳注 単数と複数が同一の名詞を参照。]にもかゝはらず、これは、アイスホッケーチームのセントルイス・ブルーズSt. Louis Bluesにも適用される。

ボストン・レッドソックスBoston Red Soxに見られるやうに、チーム名が形式上は複数だが、-s を取り除くことで単数化されないやうな場合、複数形が単数形として使はれることがある。(プレイヤーは a Red Sox と呼ばれる。) 単数形の「Red Sox」は、綴りはさうでないことを示唆してゐるにもかゝはらず、「Red Sock」だったかのやうに発音されることが多い。

マイアミ・ヒートMiami Heatコロラド・アバランチColorado Avalancheのやうに、チーム名が単数の場合、プレイヤーを示すために、同じ単数の単語が使はれることもある。(a Heatan Avalanche 1人よりも多くのプレイヤーを指す場合、Heat playersAvalanche players を使ふのが普通である。(なほ、後者の事例では、チームの複数形のニックネーム Avs も使用可能である。)

チームが単数の名前を持つとしても、(とくにイギリス英語では)複数として取り扱ふことについては、上の複数として扱はれる集合的な意味を持つ単数形の節を見よ。

集合的複数形としての形容詞

いくつかの形容詞は、指定された種類の人々を示す複数形として使はれ、屈折しないことがある。例へば、unemployedhomeless は、There are two million unemployed. のやうに、「雇はれてゐない人々unemployed people」や「家の無い人々homeless people」を意味して使はれることがある。このやうな用法は、ある種類の人々を一般的に示すには、定冠詞とゝもに使はれるのが一般的である。例へば、the unemployedthe homeless

これは特定の国民によく見られる。すなはち、the Britishthe Dutchthe Englishthe Frenchthe Irishthe Spanishthe Welsh、元ひ the Swiss-ese の形の人々(the Chinese 他。)を含む、形容詞と単数と複数の名詞が同一である人々。たゞし、ほとんどの国民のケースでは、地域の住民demonymを表す名詞の複数形が、この目的のために使はれる。例へば、(the) Americans(the) Poles。形容詞の形成は可能だが、名詞が一般的に使はれる代替物となる事例には、the Scottish(またはより一般的に (the) Scots)、the Danish(または (the) Danes)、the Finnish(または (the) Finns)、the Swedish(または (the) Swedes)が含まれる。

とは言へ、特定の人々の組(five Frenchmena few Spaniards)を指す場合は、通常は名詞が使はれる。たゞし、地域の住民demonymを表す名詞が性別固有なら、とくに性別が混在してをり、または特定されてゐない集団の場合、形容詞が使はれることがある。there were five French (orまたは French people) in the barFrenchmen でも Frenchwomen でもないのが適切な場合。)。

数的な数量Numerical quantities

一般的な用語では、複数pluralは単に「1よりも多い」を意味する。1の数量が文法的に複数に屈折することもときどきある。

実数は常に複数

実数精度を含む数量は全て複数である。任意個数の0に後続される1を含む。たい的には、1.0 gallons per flush0.6 units あるいは 3.3 children per couple と言ふのは普通だが、*1.0 gallon*0.6 unit および *3.3 child per couple はさうではない。

分数

分数は、分子に依存して、単数または複数になり(例: one eighthtwo eighths)、また、分数が適用されるものは何でも、単一のぶったいの分数に言及するか、複数の物體の分数に言及するかに依存して、単数になることも複数になることもある(例: three-quarters of the apple(s))。

0に等しいものは通常は複数

数量0は全て、複数になることも単数になることもあるが、複数形が規定である。よって、次のやうな複数形が標準となる。

  • We have no bananas.
  • We have zero bananas.
  • We don’t have any bananas.

しかし、1つのぶったいが問題になってゐるといふことがすでにりっしょうされてゐる場合、no を使って、そのやうな物體が存在することを単数形で否定することがある:

  • “Can you pass me the banana on your desk?” “There’s no banana on my desk.”

疑問代名詞

疑問代名詞の whowhat は一般に、単数一致を取る。例:

  • Who works there?

いくつかのケースでは、回答が複数であることが期待される場合、複数の動詞が使はれることがある:

  • What have big ears and trunks?

複数の述語補部a—predicative complementに後続される場合、複数の動詞が使はれる:

  • What are the main reasons?

であって、

  • *What is the main reasons?

ではない。

which に後続する場合、単数の動詞は単数の回答を示唆し、複数の動詞は複数の回答を示唆する:

  • Which of these answers is correct?(単数選択)
  • Which of these answers are correct?(複数選択)

How many? と尋ねるときは、期待される回答が1つだけであっても、複数が標準的である(例: How many bananas? であって、*How many banana? ではない。)。

くゎんれん項目See also

補遺

transl.

transl. - Wiktionary によれば、transl. の複数形は transll. である。形式的には文字と略語の複数形の一種だが、一部の音節をそのまゝ残す略語で、同様のものは他に見当たらなかった。

通貨単位

通貨単位は、その性質上、内名endonymの複数形で用ゐられることが少なくない:

colón colones スペイン語から。
krona kronor*kronas は無い。) スウェーデン語から。
króna krónur*krónas は無い。) アイスランド語とフェロー語から。
krone kroner*krones は無い。) ノルウェー語とデンマーク語から。
lek lekë アルバニア語から。
loti maloti ソト語から。
paisa paise ヒンディーから。
real reais ポルトガル語から。

たゞし、とくに文章では、ISO 4217 通貨コード(例: CRCSEK)が通貨単位として使はれることもよくある。この場合、通貨単位は複数化しない。文字と略語の複数形も参照。

ウィキメディア・プロジェクトへの移出についての補足

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なほ、私がこの翻訳をウィキペディアに投稿しなかった理由は次の通りです:

  • 英語の複数形は、既存の別の記事(複数英語の文法など)ですでに説明されてゐる。
    • かういふ場合、既存の項目を発展させるべきだと考へてゐます。
    • これらの記事には独自の記述もあります。例へば、個数の絶対値が1未満であっても単数形が文法的な場合があるといふことは、English plurals からは読み取れません。
  • English plurals の内容は、英語話者にとっては百科事典的だが、さうでない人にとっては教科書的なものに見える。

  1. 原注 カナディアン・レイジングを伴ふアクセントでは、有声子音の変異によって、先行する二重母音の音(/aʊ/ または /aɪ/)に変化が生ずることがある。[訳注 通常、カナディアン・レイジングによって変化するのは無声子音の前の二重母音である。] ↩︎ ↩︎ ↩︎

  2. 原注 有声化した /mɒðz/ はまれだが、ニューイングランドとカナダでは現れる[要出典]↩︎

  3. 原注 dwarf について、その複数形の一般的な形式は、J・R・R・トールキンdwarves を普及させるまでは、例へば、ウォルト・ディズニーの『白雪姫Snow White and the Seven Dwarfs』に見られるやうに、dwarfs だった。彼[トールキン]は、自身の小説に登場する空想上の種族「ドワーフ」をおとぎ話で一般的なよりキュートでシンプルな存在と区別するために、変更された綴りを意図的に使ったが、その後、この用法が広まった。たゞし、天文学的な矮星と非神話的な背の低い人類は dwarfs のまゝである。 ↩︎

  4. 原注 hooves と韻を踏むやうに /ɹuːvz/ と発音されることは一般的だが、rooves は古風で珍しい綴り。 ↩︎

  5. 原注 「従業員ぜんたい」といふ意味の staff/stæf/ または /stɑːf/)については、その複数形は常に staff となる。その他の場合、flagstaffs のやうな複合語を除いて、staffsstaves の両方が許容される。staves は、「魔法の杖」や記譜ツールを意味する場合を除き、北アメリカではまれである。樽の胴板を意味する stave は、その複数形である staves からの逆成の結果である。(上の逆成の節を見よ。) ↩︎

  6. 原注 鳥を指す場合、kiwi-s の形を取ることも取らないこともある。ニュージーランド人New Zealanderを指すくゎいたいの用語として使はれる場合、常に -s の形を取る。 ↩︎

  7. 原注 Māori は、人を指す場合、大抵 -s の形を取らない。多くの話者は Māori を名詞として使ふことを避け、代はりに形容詞としてのみ使ふ。 ↩︎

  8. 原注 がく用語では、phalanx は指または趾の骨である。軍事的な phalanxphalanxes と複数化される。 ↩︎

  9. 原注 ぜんたいとしての音楽スタイルを指す。 ↩︎

  10. 原注 an agenda は、議題の一覧a list of agendaを意味するために使はれる。 ↩︎

  11. 原注 1個の dataa data point と呼ばれることがある。工学、製図、測量もしくは測地学、または航空機の重量と平衡の計算では、datum(複数は datums または data。)は、測定が行はれるぶったいの基準点、基準面もしくは基準軸、または測定が行はれる地球の表面である。 ↩︎

  12. 原注 magnum opus[といふ表現]の中に残ってをり、また、同じ作曲家による音楽作品をたいけい的に命名するための作品番号システムthe opus numbering systemのために維持されてゐる。 ↩︎